HelloDear
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文藝春秋
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センセイの鞄

センセイの鞄

センセイ。わたしは呼びかけた。少し離れたところから、静かに呼びかけた。 ツキコさん。センセイは答えた。わたしの名前だけを、ただ口にした。 駅前の居酒屋で高校の恩師・松本春綱先生と、十数年ぶりに再会したツキコさん。以来、憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩や花見、あるいは列車と船を乗り継ぎ、島へと出かけた。その島でセンセイに案内されたのは、小さな墓地だった――。 40歳目前の女性と、30と少し年の離れたセンセイ。せつない心をたがいにかかえつつ流れてゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。切なく、悲しく、あたたかい恋模様を描き、谷崎潤一郎賞を受賞した名作。 解説・木田元

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